近年、労働者派遣法は「働く人の権利守護」を軸に、より厳格な運用が求められるようになっています。「うっかり違反」が企業のレピュテーション(評判)低下につながる時代。今回は、現場で特にお問い合わせの多い「同一労働同一賃金」と「離職後1年以内の禁止事項」を中心に、2026年現在の実務ポイントを整理します。

同一労働同一賃金:その「差」には理由がありますか?
「同一労働同一賃金」の目的は、正社員と派遣スタッフの間の不合理な待遇格差をなくすことです。派遣先企業として特に注意すべきは、「福利厚生」と「教育訓練」の提供です。
- 施設利用の平等: 食堂、休憩室、更衣室などは、派遣スタッフも正社員と同様に利用できるよう配慮が必要です。
- 教育訓練の実施: 業務遂行に必要な教育(安全衛生教育やシステム操作研修など)については、正社員と同一の業務を行うのであれば、同等の実施義務があります。
- 【2026年最新の注意点】: 通勤手当の基準(一般賃金)が引き上げられています。派遣会社から料金改定の相談があった際は、法遵守の観点から適切な協議が求められます。
2. 離職後1年以内の派遣受入禁止:意外な落とし穴
「退職した優秀な元社員を、今度は派遣スタッフとして呼び戻したい」——実はこれ、原則として禁止されています(派遣法第40条の9)。
ここがチェックポイント!
- 対象となる範囲: 正社員だけでなく、契約社員やアルバイト・パートも含まれます。たった1日の勤務でも「直接雇用」の実績があれば対象です。
- 事業者単位での判断: 「別の部署だから大丈夫」は通用しません。会社(法人)単位で判断されるため、A支店を辞めた人をB営業所で派遣として受け入れることもNGです。
- 唯一の例外: 60歳以上の定年退職者については、このルールの例外として離職後1年以内でも派遣受入が認められています。
3. 実務で「違反」を未然に防ぐ3つのアクション
現場の混乱を防ぐために、担当者が明日からできる対策です。
- 受入時の履歴確認を徹底: 派遣会社からスタッフの提案があった際、過去に自社で直接雇用(短期アルバイト含む)した実績がないか、人事データと照合するフローを構築しましょう。
- 派遣会社との連携強化: 2026年春の省令改正では、スタッフへの「待遇説明」がより強化されています。派遣先での評価基準や業務内容を、派遣会社と正しく共有することがリスク回避に直結します。
- 定期的な「職場環境」の点検: 休憩室の利用制限など、現場レベルで「正社員限定」のルールが残っていないか、定期的な見直しを行いましょう。
まとめ:コンプライアンスは「攻め」の採用戦略
法令遵守はリスク回避のためだけではありません。「ルールが守られている職場」という安心感は、優秀な派遣スタッフが集まり、定着するための大きな武器になります。
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